建売住宅や中古住宅を購入する際に、意外に見落としがちなのが車の駐車スペースの確認です。幅や奥行といった物理的かつ平面的な広さにフォーカスしてしまうと、使い勝手の悪さや隣地とのトラブルリスクを見抜けません。本コラムでは駐車スペースの着眼点について解説します。
建売の駐車スペースチェックポイント集
❶上空に電線が通っていませんか?
❷水はちゃんと正しい方向に流れますか?
❸道路の幅員は?主要なルートはどっち?
滅多に車に乗らない、そもそも車はないという方は関係ないとお思いになるかもしれませんが、隣地とのトラプルとも関係があるので、車の使用頻度・有無に関わらずご一読されるとよいと思います。
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車好きの方であればこのタイトルを見ただけでピンと来ているかもしれません。駐車スペースの上空近辺に電線が通っていますと、鳥からの飛来物が車に命中しがちです。電線のみならず、電柱や看板、軒庇等の鳥が駐在しやすい突起系のものが隣接していると要注意です。飛び立つ瞬間に落下してくるので、真下というより少しだけズレたところに着地することが多いです。チェックの方法としては上空を見渡すのはもちろんですが、駐車スペース近辺の路盤をくまなく見渡して直近で飛来物が多く着地していないか見ておくとよいでしょう。
駐車スペースにちゃんとした水勾配(道路や排水溝にちゃんと雨水などが流れていくようにつけられている路面上の勾配)がつけられているか、しゃがんでみてみる必要があると思います。水勾配が不足してフラットになっている場合、駐車スペース内で雨水が滞留して水たまりが出来る可能性がありますし、逆に勾配はついているが方向が隣家に向いていたりすると、自宅敷地内のゴミなどを巻き込んで流れ出してしまい、思わぬ近隣トラブルを誘発しかねません。道路のL型溝(側溝)の勾配も要チェックポイントで、洗車した際の泡が道路へ流れ出した際にどのような順路を辿っていくのか、隣家の玄関前で泡が滞留してしまうなどということもあり得ます。チェック方法としては、大雨の日に外回りだけさっと確認しにいくのが良いでしょう!
駐車スペースの間口と奥行を測って、自家用車のサイズを確認して、広さ的に問題なく格納できることを確認してらっしゃる方は多いですが、そんな方でも前面道路の幅員を見落としているケースがあります。例えば全長5m弱の3ナンバー車を道路と直角に駐車しようとすると、駐車スペースの奥行が5.5mくらいで間口は3mくらい必要だろうととは容易に想像がつくと思うのですが、前面道路の幅員が4mかそれ以下しかない場合、5.5m×3mの駐車スペースには3回以上切り返さないと入庫できない可能性が高くなります。間口が広ければ大丈夫ですが、駐車スペースの両脇に塀や建物壁がしっかり食いこんできていると、視覚的にも止めにくく感じます。また、一方通行や、主要な向い先の方向が決まっているようでしたら、そちらに向かってハンドルを切りやすいのか?視界が良好なのか?はしっかり見ておくべきです。
ということで、建売住宅や中古戸建の見学の際は、建物の間取り・陽当たりも大事ですが、駐車スペースの吟味もしっかり行っていただければと思います。なお、新築建売住宅の場合、契約もしくは残金決済前に自家用車で試し駐車をさせてくれないケースが多々あります。理由は駐車スペース路面にタイヤ痕がついてしまったり、エクステリア破損のおそれがあるからです。相談をしてみるのは良いですが断られる可能性もありますのでご留意ください。