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買った人は気づいている?建売住宅の「品の良さ・質感の高さ」はエクステリアが決める!

ヨンキュッパー(4,980万円)で販売中の大手系デベロッパーの建売分譲地のすぐ隣に、サンキュッパー(3,980万円)のローコスト系建売が売りに出ている…駅からの距離や利便性・居住環境はもちろん、土地や建物の広さ等はさほど変わらないのに、なぜこんなにも価格が異なるのか??いったい何が大手系とローコスト系はそんなに違うのか?みな一度は必ず考え込んでしまうものでしょう。とはいえ、それでもなんとなく総合すると、大手の建売分譲地の街なみや雰囲気のほうが「品が良い・質感が高い」ような気がするのですが、具体的に「何」がよいのか分からない…。このようなケースの大半は、エクステリア(業界用語で「外構・がいこう」と言います。)にヒントがあります。実は、建売分譲地の「品の良さ・質感の高さ」という”雰囲気”を醸し出すために大手系が妥協せずに力を入れて取り組んでいるのがエクステリア・外構の企画デザインなのです。大手系とローコスト系の建売住宅の最も大きな違いはエクステリア・外構にあるといっても過言ではありません。そこで本コラムでは、なぜ大手系がそこまでしてエクステリアを重要視しているのか?についてピックアップしたいと思います。大きくは3つ理由があります。


ポイント① 買ったあとに気づく?エクステリアの重要性

ポイント② 実は家の資産価値維持にも役立つ

ポイント③ 少しの植栽等の手入れ手間は満足度を高める

建売住宅を購入した方々に対して「購入時に何を重要視したか?」についてまとめているアンケートのどれを見ても「エクステリア・外構を重視した」と回答している人は皆無に等しいです。エクステリアは建売住宅を購入を左右するポイントではないのですが、上記の3つのポイントの見出しを見ていただければ分かる通り、「住み始めた後に」色々じわじわと気づいて来る”何か”がエクステリアの世界にはあるようです。それでは解説していきましょう。

ポイント① 買ったあとに気づく?エクステリアの重要性

建売購入”前”は、主に「立地・価格・間取り・住宅ローン」が気になりますが、建売購入”後”に日常の生活が始まると、それらはあっさりと忘れ去られ、「設備・建具等の使い勝手・日々の家事動線・収納方法・汚れと掃除」などに関心事が徐々に移っていきます。そして、外廻りでいうと、自転車置き場が不十分であったり、車の出し入れの障害物が見つかったり、外壁のシミや汚れ等に気づくようになりますが、それらと同様に、ご近所の家々と見比べることで具体的かつ鮮明に自宅について見方が変わってくるのがエクステリアデザインです。

購入”前”は一切気にかけていなかったようなことに目がいくようになります。中でも最たるものが門柱(もんちゅう)だと思います。大手系の建売分譲地では、全戸に統一感のある手づくりのオリジナル門柱を一邸一邸、玄関廻りに丁寧に造っています。コンクリートブロックやRCで立ち上げた小壁の表面にタイルや石を割りつけて、ポスト・門灯・表札、最近では宅配ボックス等もそこに組み込みます。門柱は、”表札”を付ける家の「顔・名札」でもあるので、その家の品格が如実に表れます。そういったエクステリアデザインが全住戸でさりげなく統一されていると、街全体が引き締まって見え、「品の良さ・質感の高さ」が生まれます。全戸がバラバラのエクステリアデザインや質感で門柱を立ち上げていると、まとまり感がない、既存の一般住宅街のようになってしまいます。街なかを歩いている通行人の目線高さからすると、2階部分含めた家全体像を見上げるというよりも、門柱のほうが目に留まりやすいので、なおさらそのデザインというのは街や家の顔としては重要な要素である…というわけです。


建売購入”前”に、門柱そのものの質感はもちろん、街全体の門柱の統一感の重要性に気づく方はなかなかいらっしゃらないのは事実で、そこがエクステリアの難しい所なのだと思います。「さすが、大手は良い街をつくっているな」と思うことの大半は、実はエクステリアであったりするわけです。

ローコスト系の建売分譲地はというと、表札とポストが一体になっている価格もリーズナブルな既製品を使うか、そもそもの方針として設置しない(=オプション)ところもあります。コスト的な無駄を省くのがモットーですし、門柱の良し悪しで建売購入の是非は決まらないのも事実なので、あまりそういったエクステリアに気を使わないのがローコスト系の実情だと思います。

ポイント② 実は家の資産価値維持にも役立つ

エクステリアのデザインに力を入れている大手系の建売分譲地は、転勤や諸事情で中古住宅として売却しなければならなくなった際のリセールバリューが高いのも特徴です。理由は簡単で、家単体なら既存の建物を取り壊すなどしてイチから好みのものに作り変えたりすることはいくらでも可能ですが、周辺の家々を含めた街全体の「品の良さ・質感の高さ」という雰囲気そのものは、個人の家単体レベルでは創り出すことができない”プライスレス”なものだからです。どこかで中古住宅1軒を購入して、隣り近所さんに声をかけて、みんなでエクステリアデザインを統一しましょう…と言ってもそれはとても無理な話です。

また、建売業界では、大手系が閉める供給戸数のシェアが低く、大半の供給が地元の中小工務店やローコスト系ビルダーのほうが圧倒的多数なので、大手系の建売住宅が中古で流通することが少ないため、優良な中古住宅を探している層からすると、とても見つけにくい商品なのです。そういった事情もリセールバリューを押し上げる要因のひとつになっています。

ということで、大手系の建売分譲地は、購入当初のエクステリアの「品の良さ・質感の高さ」を住民通しで維持していくことで、街の資産価値を維持することが可能である点も特徴と言えるでしょう。

ポイント③ 少しの植栽等の手入れ手間は満足度を高める

ローコスト系の建売分譲地のエクステリアの特徴は、駐車場の土間コンクリート打ち、郵便ポストと表札、隣地との境界フェンス・ブロックだけに絞っていて、以外は一切「何もやらない」点にあります。緑化に関する法規制等がない限りは、植栽もやらないのが通常です。やらないどころか、入居する方の雑草処理手間を省くため、防草シートを張り巡らしたり、砂利だけでなく、建物廻りを全周コンクリート土間で固めてしまうところもあります。草むしりや庭木の剪定の手間が省けるので、そういう仕様の方が人気があるとも言われています。

しかし、最近では、玩具等においても100%完成品よりも、少しだけ組み立てる工程や、シールを貼るという手間を購入者に体験させることで、逆にその商品に対する長期の愛着を増幅させて飽きさせない(無駄に捨てさせない)という手法があるように、建売住宅も「全く」手間がかからないというよりも、年に数かい植栽の剪定をしたり、花台の草花を入れ替えたりする手間を入居者がかけることで、入居者の自宅に対する愛着が増すことが分かってきているそうです。ある大手系のアフターサービス部門にかかってくる建売分譲地入居者からの問い合わせ・質問の中で最も多いのは、エクステリア、とりわけ植栽のメンテナンスに係るものだそうです。カスタマーリレーションという意味合いにおいても、植栽等をエクステリアに取り入れておくのは大切なのだそうです。ちなみに、大手系では植栽の枯れ木保証(入居開始後1年間、大中木が枯れた場合は入れ替えるという保証)がついているのが大半だそうです。

最後に

ということで、建売分譲地の購入検討をされる方は、エクステリア・外構というのが、入居後に少しずつ重要な要素になってくるということを意識しながら、モデルハウスなどを見学してみるとよいかもしれません。参考になさってください。