「頭金なしで購入可!」「自己資金不要のフル・ローンご用意しています!」こういった建売住宅のチラシや看板をみたことございませんか?ご結婚やご出産などで出費がかさむ時期にマイホームをお探しの方にとって、こういう広告キャッチはとても魅力的です。今回のコラムでは、建売住宅を自ら売主として販売している業者の視点から「建売住宅購入時に用意すべき頭金は最低どのくらい?」について解説したいと思います。
その①
「フルローンOK」と「現金一切不要」は、完全な別モノ?
その②
本当に頭金としての「現金がゼロ」の人は契約を断られかねない?
その③
昔は最低物件価格の2割が常識。で、昨今のトレンドは?
結論を申し上げますと、すべてを売買代金に充当するかは別として、頭金その他諸費用資金として200~300万円くらいをすぐに「動かせる」ようにしておく方が建売住宅の購入はスムーズです。
目次
大手デベロッパーやハウスメーカー等の販売担当者に「建売住宅の頭金(契約手付金)のミニマム金額は社内ルール上、いくらで設定していますか?」と聞くと、ひと昔前は200万円というお話が多かったのですが、低金利でローン審査が大きく緩和された昨今では、100万円が基準で、例外のケースとして稀に50万円等の場合もある…とのことです。
ただ、頭金を現金で100万円支払った方でも、結果的にフルローンを利用して、その現金は手元に残される(戻してもらう)という方はいらっしゃいます。フルローンは利用できても、結局現金としての頭金のお支払いは契約時にお願いしている建売業者会社は多いのです。決して「フルローンが使える=現金一切不要」というわけではないのです。
金融機関による住宅ローン審査の結果、フルローン(満額融資)がOKだとしても、建売住宅の売主業者側が頭金(契約手付金)を要求してくるのには理由があり、契約金がゼロの場合、購入者都合によるキャンセルの確率が高いそうです。
建売住宅の売買契約上、契約手付金としての頭金は、購入者側の一方的な都合でキャンセルする場合は「放棄」しなければなりません。頭金が少額だったり「ゼロ」だったりすると、キャンセルへの”抑止力”が働かず、残金決済・所有権移転をする前に、キャンセルして他物件に「浮気」されてしまう可能性が高まります。なので、売主側が希望する頭金額(例:100万円以上)がそもそも契約の条件になっていることがあり、不足がある場合は契約を断られてしまうこともあります。詳しくは物件概要書や諸条件を事前にご確認ください。
旧住宅金融公庫のローン基準金利が3%台後半以上だった25~30年前に建売住宅を購入した方々の大半は、頭金をだいたい2割前後用意するのが常識でした。民間の金融機関ですらフルローンの取り扱いがあまりなかったからですが、その後大幅に金利は下がり、超低金利政策が続く昨今では、民間金融機関の変動金利商品で「0.5%」未満のものも多く登場しています。建売住宅の本体価格の100%フルローンはもちろん、諸費用や家具エアコン等のオプション品にまで融資を可としている金融機関もあります。
以上踏まえまして、昨今のトレンドとしては、絶対にご用意頂いたほうがよい頭金の額としては、建売住宅の売主が頭金としての下限金額(100万円のケースが多い)と、長期ローンに組み込むには少し不向きな諸費用(契約の収入印紙代、火災保険料、登記料、融資手数料等で100万円前後)の合計で200万円ではないかと思います。また、住まい購入には必ず家具・家電・調度品の新調や引越代が発生することから、加えてもう100万円くらいは自由に動かせたほうが良いかと思います。
ということで、昨今のトレンドとしては、建売住宅購入に必要な頭金の額のミニマムとしては200~300万円くらいが妥当ではないかと思います。